高騰する海上運賃

【高騰する海上運賃】
主要航路での輸送需要が旺盛で船腹供給の不足と、アジアの主要港でのコンテナ不足により海上運賃が押し上げています。
最新のDrewry’s World Container Index(WCI)では上海発の主要4航路の運賃が続伸し上海-ロッテルダムでは週ごとに20%増加しUSD4999/40ftに到達。
しかし、実際に適用されているスポット運賃は更に高く、USD6000 ~7500/40ftとなっており、USD10000に達するケースもあります。
このようなマーケットであるため、船社は長期契約レートよりも高額なスポットレートが適用される案件を優先して船積するケースの報告が相次いでおります。



出所:Drewry World Container Index
海上運賃の高騰に耐えられず、輸送を延期するケースも出ています。

ある中国企業の物流担当者は「コンテナ不足、船腹不足により運賃が高騰したため出荷が延期となり、本来輸出する予定であった製品を保管するため
(中国国内で)新たに倉庫を契約したことで、保管費用などが余計に発生している」と述べています。
北米向け(Transpacific)でも海上運賃が高騰し、同様の問題が報告されています。

さらにアジア-中東間の運賃も急上昇しており、FCL運賃を毎週引き上げています。
現在、China-Jebel Aliの運賃はUSD4000/40ftに達しており、7月中旬までにさらに50%の上昇するとの見方もあります。

アジア-南米航路でも、Xenetaによるとスポット運賃が2022年第4四半期以来の水準に戻り、現在の平均スポット運賃はUSD6468/40ftとなっていますが、ブラジルの輸入業者の中にはUSD8231/40ftを支払ったケースが報告されています。

■主要港湾の混雑が海上運賃を押し上げる要因に
旺盛な輸送需要により主要港湾での混雑がますます深刻化しており、バンク・オブ・アメリカによると、3月以降、主要港湾混雑により船腹供給量の2%以上が吸収されています。
中でもシンガポール、ドバイ、地中海の混雑が特に深刻な状況です。

Linerlyticaは「港の混雑が再びマーケットを悩ませ、シンガポールが新たなボトルネックとなっている」と警告しています。
世界第2位のコンテナ取扱量を誇るシンガポールでは、着岸遅延が現在最大7日に達し着岸待ちの船舶であふれその船腹量は450,000 TEUと推計されます。
このような深刻な混雑により、一部の船舶はシンガポール港への寄港を取りやめざるを得ず、これがポートクランなど近隣港へ流れるため近隣港の混雑を悪化させるという悪循環に陥っています。

出所:LINERLYTICA
また、コンテナ取扱量世界1位の上海でも船舶の滞留時間は過去3年間で最高値に達しています。
船舶待機で生じた遅れを取り戻すため、船社は当初寄港予定であった港に寄港しない抜港(Omit)の措置を取ったり、長距離航路での欠航(Blank sailing)を行って対応しています。
これにより、実質的に船腹供給量が削減される形となり、海上運賃を押し上げる要因となっています。

6月も既に多くの船社で「Fully Booked」となっており、6月は深刻な遅延がさらにエスカレートすることが予想されます。
グローバルキャリアが利益率の高い遠洋航路を優先し、船腹・コンテナを投入することで、アジア近海専業船社にもブッキングが集中し、海上運賃の高騰は、いよいよ日中航路にも波及しています。
パンデミックをきっかけとして2021年に始まり2022年にかけて続いた大幅な運賃上昇を彷彿とさせます。

先週の中国輸出コンテナ運賃市場 紅海危機でSCFIが22年9月以来の高値(24-05-22)

先週の中国輸出コンテナ輸送市場は、紅海危機による喜望峰経由の迂回ルートへの変更に伴う船腹不足でスポット運賃(THC除く)を反映した上海輸出コンテナ運賃指数(SCFI)が、13航路のうち11航路で上昇し、総合指数(2009年10月16日=1000)は2520.76と前週比9.3%上昇し5週連続でアップ、2022年9月下旬以来の高値を更新した。 先週のSCFIを航路別にみると、東西航路は欧州航路が前週比6.3%上昇し3,050ドル/TEU、地中海航路が1%上昇し3,957ドル/TEU、北米西岸航路が14.4%上昇し5,025ドル/FEU、北米東岸航路も8.3%上昇し6,026ドル/FEUと軒並みアップとなった。 南北航路も中東ガルフ航路が4,6%上昇し2,221ドル/TEU、南米航路が22.4%上昇し6,686ドル/TEU、南アフリカ航路が26.6%上昇し3,365ドル/TEU、東・西アフリカ航路も22.2%上昇し4,605ドル/TEUと好調だった。 アジア域内航路は関東航路が1.3%下落し305ドル/TEU、韓国航路が横ばいの161ドル/TEU、関西航路が1.7%上昇し292ドル/TEU、東南アジア航路が12.2%上昇し406ドル/TEUだった。 紅海危機により喜望峰を迂回するコンテナ船の航海距離が延び、主要アライアンスのアジア/欧州航路への投入船が約10%不足している状況で、喜望峰迂回による船腹不足は当分続く見通し。 一方、今年に入り114万TEUの新造船が引き渡されたにもかかわらず、5月10日現在、3大アライアンスのアジア/欧州航路の25ループに投入するコンテナ船は約36隻不足、アライアンスが航路運営を維持するために必要な総船腹量の9.6%が欠航するのと同じ影響を与えている。北米航路では船社が収益性を最大化するため、長期契約貨物へのスロット配分を縮小しており、スポット運賃の上昇傾向が続いている。 一方、米国小売協会(NRF)が発表した3月の米国主要コンテナ港における小売り業向け輸入量は前年同期比187.%増加し、第3四半期(7~9月)までに200万TEUを上回り、需要面での運賃上昇をけん引する見通し。
 アジア/欧州航路は、Flexportの分析によると、最近、荷動きが増加し、多くのフォワーダーの船腹確保需要が増え、欧州の輸入業者の在庫確保の動きも加速しており、船社が1,000ドル以上の値上げまたはPeak Season Surcharge(PSS)の発表を試みる可能性が観測されている。
 コロンボ港(スリランカ)では、積み替え(T/S)貨物の急増で滞船が深刻化し、近隣港まで貨物が溢れ出すドミノ現象が発生、影響を及ぼしている。



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